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2005年3月22日 (火)

国際文化会館

東京都港区六本木5-11-6
1955 前川國男、坂倉準三、吉村順三

 やたらとマンションが建つ。とにかく隙あらば建つ。私の住む世田谷にも、実家のある杉並にも、そして麻布や高輪といった都心にも、こんなに誰が住むんだというくらいに建っていきます。集合住宅を「購入して」住むという極めてリスキーな選択を多くの人がするのが不思議でならないのですが、まぁ他人事なのでいいです。

 ヒルズ景気に沸く麻布十番から鳥居坂へ登るとすぐに国際文化会館の入り口に着きます。この建物は建築家3人(前川、吉村、坂倉)の共同設計ということで有名ですが、実際に建物を訪れてもなぜこの程度の規模でと思わせるものがあります。どうやらコンペに指名された3人がその要綱の不備による落選時のダメージを避けんがためにそうなったらしいのですが、協作にしてはうまくまとまっているのもそこらへんの経緯が関係あるかも知れません。
 この建物には一見して誰のカラーというような個性がありません。のちに前川単独で設計して建った新館の方がまさに前川國男丸出しなのと比べるとよくわかります。強いインパクトはないものの、その代わりに個の持ついやらしさもない佳作です。

素晴らしく天気が良かったのもありますが、この建物はエントランスから諸室、動線に至るまで非常に気持ちよく出来ていて、豪華な調度があるわけでもなんでもないし、むしろ低予算も反映して非常に質素なつくりなのですが上質感があります。こういうのは吉村順三のテクニックかも知れません。

 旧岩崎邸の遺構である日本庭園と建物のつながり方はとても柔軟で、ありとあらゆる室から庭へ出ることが出来ます。それは1階であったり地下1階であったり、庭がうねって建物に被さるような、はたまた水平なスラブが地面となだらかに融けあうような連続感が面白く、それがまた作為的に見えないのが良いと思います。

 屋上に出ると塔屋のデザインがいかにも近代建築で嬉しくさせてくれますが、その向こうにそびえる肥え太った銀色の塊は不快です。六本木ヒルズ、どうしてああも醜いのでしょう。見たくもないのに嫌でも見えてしまうあたり、公害に近いものがあります。ヒルズがオープンした時のCMに驚いたのは、この醜悪なタワーにアーティストを名乗る坂本龍一と村上隆が加担したからだったと思い出しました。

 取壊しの話も上がっていた国際文化会館ですが、近々改修を受けこのまま活用されていく事が決まりました。日本ではいったん建替え計画の持ち上がった建築が壊されないのはレアケースですから画期的な事と思います。古い古いと言ってもたかがまだ半世紀なのですから、本当はこの方がまっとうな話です。

 この日館内を歩いてみて何が嬉しかったかというと、ほとんどのサッシが木製だったこと。とても魅惑的なそのサッシは改修でどうなるでしょうか。困ったことに色気のあるアルミサッシは見当たらないのです。

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コメント

travel@cafeさん はじめまして。東京新聞に載った途端に受付終了という感じでしたね。 でも建築の見学会というと業界人ばかりになりがちなので、一般の関心を集めたのは良かったかも。kie しばらく会ってないね、遊びに来ればいいのに。今度お花見でもやるから、呼ぶよ。

投稿: 山内 | 2005年3月23日 (水) 00時38分

こんばんわー、すごいね。良いものみてるね。吉村順三の質素な上質感はぜひ見てみたいなーと思いました。あと、空間の繋がり。そういうの、ここのところ離れ気味!

投稿: kie | 2005年3月22日 (火) 22時30分

はじめまして。見学に行きたかったのですが、新聞で紹介されたためか、予約がいっぱいになっていました。残ることになってよかったですね。

投稿: Travel@Cafe | 2005年3月22日 (火) 22時18分

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