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2006年2月15日 (水)

東海館

静岡県伊東市東松原町12-10
1928

 伊東といえば温泉と新鮮な魚、逆にそれ以外は見所があまりない街と言えるかも知れない。伊東市としても観光資源の不足は感じているのだろう、廃業した旅館を市の管理下として公開しているのがこの東海館である。

 昭和3年築のこの建物には多くの美しい建具が残されている。暗い室内にゆるやかな透過光を届ける障子には日本の誇る造形技術がある。

 これは網干の様子を図案化したもの。2枚目と3枚目に連続性がないので、もしかすると交換されているのかも知れない。

 この欄間にはめ込まれた障子には、可愛らしい千鳥と青海波という日本を代表しそうな有名デザインが用いられている。個人的にはかなりお気に入り。

 こちらは霊峰富士山。下のほうには飛翔する水鳥と松が見える。静岡という土地柄を一枚の障子絵で表現する見事な出来映え。

 障子の描き出す明と暗、水墨画のようなモノクロームの世界。
 日本の室内が暗かった頃、そこに差し込む光がどれほど劇的なものであったかは想像に難しくない。改めて谷崎に指摘されるまでもなく、日本人の感覚はその美しさを愉悦としていた。

 いま古民家を訪れた時、室内の闇を我々はどのように受け止めるだろうか。その暗さにそのままネガティブを見るような鈍感さがありはしないか。
 誇るべき技術そして感覚は、失われるべくして失われてしまったのかも知れない。

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