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2006年10月16日 (月)

親和銀行本店

長崎県佐世保市島瀬町10-12
1967-75 白井晟一

 佐世保の街を訪れた理由は、これが見たかったというただそれだけです。「先生」という敬称を付けて呼びたい建築家のひとり、白井晟一の最高傑作でしょう。この建築に傾けられた情熱と労力は計りがたいものがあります。

 建築当初からあったというアーケードが建物のファサードを水平に切り取っていて、その前に立っても全体を把握するのは難しい建物です。引きが取れれば威容を誇ることも出来ますが、正直言って外観の重厚さはほとんど効果を発揮していません。実物よりも図面や写真の方が訴求力が強くなる珍しい例だと思います。
 しかし、内部の豊潤さは他の追随を許しません。白井晟一の建物は大体において閉鎖的で外部との関係性は希薄ですが、これは特にそう。建物の中に一歩踏み込んでしまえば、異界といっておおげさではありません。

 白く塗られた栗材で構成された和室の独創、懐霄館の展望室に見る材料同士の奇跡的な調和、ブラジリアンローズウッドとベルベットが奢られた目のくらむような美術展示室。これが現実のものとなったことが奇跡ともいえます。

 見学を終えて公園のベンチから呆然と見上げた砂岩積みの懐霄館。一企業の努力だけで維持していく難しさを考えると、重要文化財指定などの方策に期待したいと思います。同じ設計者の銀座の東京支店は壊されてしまいました。本店がその後を追うようなことはあってはなりません。

 最後に、お忙しい中にもかかわらず館内の案内をして下さった親和銀行の山本氏に多大な感謝を。

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